高齢者の孤立を防ぐ！ネットスーパーの意外な役割

高齢化社会が進む中、「孤独」「孤立」といった言葉が注目を集めています。特に一人暮らしの高齢者にとって、日々の暮らしの中で誰とも会話せずに1日を終えるというケースも珍しくありません。

そうした中、単なる「便利な買い物手段」として普及してきたネットスーパーが、実は高齢者の孤立を防ぐ“生活インフラ”として注目され始めています。

今回は、ネットスーパーが果たす“意外な役割”にフォーカスし、高齢者の生活をどのように支えているのかを詳しく解説します。

高齢者の孤立問題とは？

日本では年々、独居高齢者の割合が増加しています。内閣府の調査によると、65歳以上の一人暮らしは全体の約20%にのぼり、女性では3人に1人が単身生活を送っています。

こうした状況において問題となるのが、「社会的孤立」と「孤独感」です。

• 日常的に誰とも話さない
• 外出する機会が減る
• 緊急時の助けが得られにくい

これらが続くと、心身の健康に悪影響を及ぼし、うつ病、認知症、さらには孤独死のリスクも高まります。

孤立を防ぐには、「人との接点を持ち続けること」が重要です。ここに、意外にもネットスーパーの活用が大きな意味を持つのです。

ネットスーパーとは？改めて基礎を確認

ネットスーパーとは、スマートフォンやパソコンなどから商品を注文し、自宅に食品や日用品を届けてもらえるサービスです。大手スーパーや生活協同組合、地域密着の店舗などが提供しており、高齢者でも利用しやすいように工夫が進められています。

主なネットスーパー：

• イオンネットスーパー
• イトーヨーカドーネットスーパー
• ライフネットスーパー
• 楽天西友ネットスーパー
• 生協・コープ宅配

これらのサービスは、買い物に出かけるのが難しい高齢者にとって、大きな生活の支えとなっています。しかし、ネットスーパーには「買い物以上の価値」があるのです。

ネットスーパーの“意外な役割”とは？

ネットスーパーは、単なる買い物支援を超えた「孤立防止」の役割を果たしています。

1. 配達員との対面が“貴重な会話の機会”に

一人暮らしの高齢者にとって、宅配スタッフとのちょっとした会話が、1日の中で唯一の対人接触になることもあります。

「こんにちは」「今日は暑いですね」「いつもありがとうございます」といった短い言葉のやり取りが、心の安定や生活リズムの維持につながります。

2. 配達員が異変に気づく“見守りの目”に

いつも対応している配達員が「今日は様子が変だ」「出てこない」と異変に気づき、緊急連絡に至ったケースも実際に報告されています。

こうした“人の目”が入ることは、孤独死リスクの抑止に大きく貢献します。

3. 規則的な配達スケジュールが生活リズムに

毎週●曜日の午前中に注文、毎週決まった時間に届く。
この「定期的な配達スケジュール」が、高齢者の生活にリズムを与え、「今日はちゃんとご飯が届く日」といった目標意識や行動習慣を促します。

4. 子ども世代が注文履歴を見て見守れる

ネットスーパーの中には、注文履歴や配送通知が確認できるサービスもあります。子ども世代が離れて暮らす親の様子を間接的に把握する「見守りツール」としても機能します。

実際に行われている「見守り付き宅配」の取り組み

近年では、自治体や民間企業が連携し、「宅配による見守りサービス」を本格的に展開しています。

イオンの「見守り配送」

イオンネットスーパーでは、一部地域で高齢者への毎日配送を実施し、配送スタッフが異変を感じた場合に連絡する体制を構築。自治体と連携して「命を守る買い物支援」を実現しています。

コープの「地域見守り協定」

各地の生活協同組合では、行政との見守り協定を結び、配達スタッフが異常を感じた場合には市町村に通報する仕組みがあります。

ヤマト運輸の「見守り宅配」

ヤマト運輸では、一部自治体と連携して、高齢者への定期的な荷物配送時に、配達員が健康状態をチェックし、異変があれば関係機関へ通報する取り組みを行っています。

「買い物弱者」と「孤立」を同時に解消するネットスーパー

「買い物弱者」とは、加齢や障害などによって、日常の買い物が困難になった人々のことを指します。
ネットスーパーは、こうした買い物弱者の「生活の足」を補いながら、孤立を防ぐという二重の効果をもたらしています。

中山間地域や商店街が消えた地域では、ネットスーパーが唯一のライフラインになっているケースも多く、地域の福祉インフラとしての役割が年々大きくなっています。

高齢者がネットスーパーを使いやすくする工夫

1. スマホ・タブレットの簡単設定

高齢者向けに、画面が大きく見やすいタブレットや、音声ナビ付きのアプリを利用することで、注文のハードルが下がります。

2. お気に入り登録や定期購入機能の活用

毎回ゼロから商品を探すのではなく、「いつものセット」を定番登録することで、操作が簡単になります。

3. 家族による代理注文

子どもが注文を代行し、配達先を親の自宅に設定する方法も有効です。支払いも家族が担うことで、親の経済的負担を軽減できます。

高齢者本人の“利用への抵抗”を減らすには

ネットスーパーを導入しようとしたとき、高齢者本人が「まだ自分で買い物できる」「人に頼るのは嫌だ」と感じるケースもあります。

そんなときは次のような方法が有効です。

• 「重いものだけネットで頼もう」など、段階的に導入
• 一緒に注文操作を体験して安心してもらう
• 家族がサポートすることで“気軽に使える環境”を作る

まとめ：ネットスーパーは“買い物以上”の価値を持つ

高齢者の孤立を防ぐためには、「人と関わるきっかけ」を日常生活の中に取り入れることが大切です。ネットスーパーは、買い物支援という本来の機能を超え、配達員との接触や家族とのつながりを生み出す“見守りインフラ”として活躍しています。

「買い物のため」だけでなく、「安心して暮らすため」に。
ネットスーパーの活用は、これからの高齢者支援に欠かせない手段の一つといえるでしょう。

今、離れて暮らすご家族や、地域で高齢者を支える立場にある方は、ぜひネットスーパーの“意外な役割”に注目してみてください。

※本記事の情報は2025年6月現在の各サービス内容をもとに作成しています。ご利用前に各社公式サイトで最新情報をご確認ください。